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優秀なDX人材へと育てるための資格8選|取得までの流れを徹底解説

「自社でDX人材を育てるために、社員にDX資格を取得させたいけど、どれを選べばいいのか分からない」
このように考えていませんか?
そのためにはまず、どのような資格があり、その資格を取得することでどのようなスキルが身につくのかを知ることが必要です。
これにより新たな時代に向けた事業を展開していき、人件費を抑えて業績を伸ばしていくことが可能となります。
そこで今回は「DX資格を習得する必要性」「優秀なDX人材になれる資格」「DX資格の取得に取り組む際の注意点」について解説をしていきます。
目次
1.DX人材とは?

DX人材とは以下の人材のことを言います。
・デジタル技術やデータ活用に精通している人材 ・DX の取組をリードする人材 ・経営戦略を実現するために IT システムの全体設計を描ける人材 |
このようなDX人材を獲得することで、業績の向上や、リスク排除、コスト削減などのメリットを得ることができます。
現在では、上場企業はもちろん、国の機関もDXを推進しており、DX人材の需要は高まる一方です。
それに伴い、現在は深刻な人材不足となっています。
そんな需要過多なDX人材ですが、なぜ資格を取得すべきなのか。
その理由をこれから詳しく解説していきます。
2.なぜDX人材になるために資格を取得しなければならないのか

DX人材の育成のためになぜ資格を取得する必要性があるのか。
その理由は4つあります。
・社員のDX適正、レベルの把握 ・DX知識の習得の指標となりモチベーションの向上に繋がる ・実践的なスキルの習得が可能となり現場で活躍できる人材となる ・会社の独自ルールにとらわれず基礎から学ぶことができる |
資格取得のための知識が、現場での実践によって個人のスキルとなります。
しかし資格はDX習得のための手段であり、目的ではないことを忘れないようにしましょう。
3.取得すべきDX資格の判断基準

プロデューサー | DXやデジタルビジネスの実現を主導する リーダー格の人材(CDO含む) |
ビジネスデザイナー | DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進等を担う人材 |
アーキテクト | DXやデジタルビジネスに関するシステムを設計できる人材 |
データサイエンティスト/AIエンジニア | DXに関するデジタル技術(AI・IoT 等)やデータ解析に精通した人材 |
UXデザイナー | DXやデジタルビジネスに関するシステムの ユーザー向けデザインを担当する人材 |
エンジニア/プログラマ | 上記以外にデジタルシステムの実装やイ ンフラ構築等を担う人材 |
参考:情報処理推進機構「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の 機能と役割のあり方に関する調査」
DXにはこれらの6つの職種があります。
どのDX資格を取得すべきなのか判断する要素として、どのような職種の人材へと育てたいのかが重要となってきます。
合格率や資格のレベルなども重要になってきますので、詳しく見ていきましょう。
4.優秀なDX人材になれる資格8選

社内でDX資格の取得を目指すのであれば、資格の種類は非常に重要となってきます。
ここで判断を誤ってしまうとお金と時間と労力を無駄にしてしまいます。
業績が落ちてしまったり、社員からの反発があってからでは遅いので、念入りに資格の種類について調べていきましょう。
おすすめの職種 | 合格率 (最新) | 試験ごとの合格者数(最新) | 平均勉強時間 | |
AWS認定各種 | アーキテクト データサイエンティスト/AIエンジニア エンジニア/プログラマ | 公表なし | 公表なし | 50時間 |
Python3エンジニア 認定試験(基礎試験) | アーキテクト データサイエンティスト/AIエンジニア エンジニア/プログラマ | 80.3% | 2,993人 | 30時間 |
データスペシャリスト試験 | アーキテクト データサイエンティスト/AIエンジニア | 17.1% | 1,268人 | 150~200時間 |
ITコーディネーター | プロデューサー ビジネスデザイナー アーキテクト | 65.7% | 163人 | 15時間 |
ITストラテジスト試験 | プロデューサー ビジネスデザイナー アーキテクト | 15.3% | 579人 | 100〜200時間 |
AI実装検定 (A級) | アーキテクト データサイエンティスト/AIエンジニア エンジニア/プログラマ | 73.5% | 133人 | 5~50時間 |
プロジェクトマネージャ | プロデューサー ビジネスデザイナー アーキテクト | 14.4% | 959人 | 150時間 |
情報技術者試験(基本試験) | 全ての職種 | 38.8% | 17,033人 | 200時間 |
AWS認定各種
AWS認定試験は、”Amzon”が提供するAWS(アマゾンウェブサービス)上でアプリ開発や、システムの運用等をする場合に必要なスキルを身につけることが可能です。
近年、AWSクラウドサービスの需要は高まっておりますので、AWSのスキルを持った人材を確保することが、企業としては重要となってきております。
試験内容については、「ベーシック」「アソシエイト」「プロフェッショナル」の3つのレベルに分けられております。
事業内容や資本等を考慮した上で、どのレベルまで取得すべきか判断していきましょう。
Python3エンジニア認定試験
Python3エンジニア認定試験は、プログラミング言語の人気ランキングで1位を獲得している「Python」のスキルを身につけることができる試験です。
Pythonは非常に分かりやすく、多くの場面でよく使われるプログラミング言語です。
試験内容は基礎試験とデータ分析試験に分かれています。
基礎試験では、完全未経験でも取得できるPythonについての基礎知識が問われる内容です。
データ分析試験は、AIや機械学習、ビッグデータを扱いますので、AIエンジニア、データサイエンティストにおすすめとされています。
データスペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、データベースを扱う業務のリーダーとして必要な、システム全体のデータの管理や設計、提案などのスキルが身に付きます。
そのため高いレベルの知識や実践経験が必要です。
試験レベルは難しく、レベル4の高難度の試験となっております。
資格取得後はデータベース管理・設計を行うエンジニア、インフラエンジニアなどになることが可能です。
ITコーディネーター
ITコーディネーターは経営とITという2つの面からの知識やスキルが必要です。
そのためITを活用してどのように売り上げを出していくのかを考えられる人間(管理者や責任者)が習得すべき資格と言えます。
ITコーディネーターの資格取得は難しくないのですが、取得後に継続した努力をしないと失効してしまうので、忍耐力が必要な資格になります。
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験は、IT知識や、経営知識、ITと経営の知識を生かした業務戦略、コンサルティング能力など幅広く習得することができます。
社内では、企画や立案などを行う責任者や管理者などが資格を取得する必要があります。
社外では、ITコンサルタントとして企業向けにアドバイスをされている方が多いです。
試験レベルは難しく、レベル4の高難度の試験となっております。
AI実装検定
AI実装検定は、AI実装に必要な基礎知識から、自然言語処理、有名モデル実装などのAIを応用したスキルまで幅広く身につけることができます。
AIエンジニアなどAIに携わる業務をする企業には必要な資格です。
AI実装検定は3つのレベルに分けられます。
・B級:AI活用の基礎知識が身に付く ・A級:ディープラーニングの実装についての知識が身に付く ・S級:画像処理や自然言語処理、有名モデル実装の技術が身に付く |
プロジェクトマネージャ
プロジェクトマネージャーは、開発の進捗状況や、タスク管理、プロジェクト管理・運用等のスキルが身に付きます。
もちろんデジタルやシステムの領域の知識も必要です。
この資格の取得者は、開発部分の責任者となりますので試験内容も難しく、レベル4の高難度の試験となっております。
基本応用情報技術者試験
情報処理技術者試験は基本試験と応用試験に分かれております。
基本試験につきましては、プログラミング技術やソフトウェアなどDX人材として身につけるべき基礎知識が学べます。
応用試験は、システムの運用や開発、運用などのITエンジニアに必要な実務的なスキルを身につけることが可能です。
また経営戦略や情報戦略についても詳しく学ぶことができるため、ITエンジニアとしてのスキルアップを目指されている方におすすめの資格です。
5.DX資格の取得に励む前の事前準備

DXの資格取得を推進する場合は、いきなり始めてはいけません。
必ず時間をかけて準備する必要があります。
その理由として資格取得を推進する側が一方的な考えで事業計画を作り、思っていたよりも効果が出ないということがあるからです。
DXの資格を取得するのは社員ですので社員の立場になって考え、事業計画を作っていく必要があります。
しっかりと成果を出すためにも、事前準備を念入りに行っていきましょう。
DXを推進する目的と明確な戦略を社内で共有する
まずはDX資格取得の理由を共有し、社員に納得してもらう必要があります。
そのためには会社がこれから何をするのか、そのための戦略はどのようなものかをはっきりするべきです。
これにより意思の疎通が図れ、働く全ての者が同じゴールに向かって働けるようになり、DX事業の成功が見込めます。
DX適性のある人材を見極める
DX関連の知見が全くない場合は、DX適正のある人材を見極めなければいけません。
DX適正のない人材に資格取得を強要すると思っていたよりも成果が出ない、もしくは心が疲弊し他の仕事に影響してしまうなどの可能性があるからです。
そのためあらかじめアンケートやテスト等を実施することをおすすめします。
DX適正のある人材を選別できるとDX事業の成功率は格段に上がるため非常に重要なポイントになります。
社内の制度を見直し、DX人材を育成する体制を整える
DX資格を取得するのであれば、社員にとってもメリットがないといけません。
例えば、試験の勉強代や受験料等にかかる費用を負担する資格取得支援制度。
DX資格を取得した際の成果によって報酬を支払うインセンティブ制度。
それに伴い昇給制度や昇進制度を設けることで社員のモチベーションの向上を図ることができます。
社員のモチベーションが上がると会社の成果に繋がりますので、まずは社内の制度を見直しましょう。
6.DX資格の取得に励んでいる最中でやるべきこと

DX資格の取得に励んでいる最中では、とにかく学習環境を整えることが重要となってきます。
どうしてもDX領域は目には見えないものを学習して、自分の頭の中に落とし込んでいく必要があるため、人によってはつまずくポイントが多いです。
つまずいたままだと、その後の学習も頭に入ってこず、しっかりとした成果が得られません。
そのため質の高い学習環境を提供する必要があります。
ではその方法を順番に見ていきましょう。
充実した研修を実施する
取得しようとしているDX資格について、知見がある人が社内にいない場合、外部から講師を招いて研修を受ける必要があります。
その理由としては教材だけでは分からない部分があるため、研修の機会に別の視点で学びを得ることができるからです。
また資格取得がゴールではないため、実際にDX事業を行う際にどのような知識やスキルが必要なのかが明確になります。
研修は資格取得の際には有効な手段ですので、是非活用して頂けたらと思います。
OJTにより小規模な体験を行う
DX資格の取得は目的ではなく、DX事業を行うための手段でしかありません。
そのため、DX資格の取得のために勉強した知識を生かして、OJTによる実務的な小規模の体験を行うことが必要です。
これにより実際にDX事業を行う際に必要なスキルを身につけることができます。
知識を記憶に定着させるという意味でもOJTは非常に有効な手段です。
コミュニケーションが取りやすい環境を作る
DX資格の習得に限らず、事業を実際に動かす際にもコミュニケーションが取りやすい環境は非常に重要です。
コミュニケーションが取りやすい環境があることで、お互いのDXスキルの習得進捗状況の把握や、DX事業の情報共有を円滑に行うことができます。
優秀なDX人材を育成するためには環境作りは非常に重要ですので、日々意識しながらDX事業を進行していきましょう。
7.DXに励んだ企業の成功事例

これまでDX資格を取得することで、新たな事業を展開できることをお伝えしていきました。
では実際にどのようなことが行えるのか。
その点について、DXの有効活用を実際に行い、成功した3つの企業の事例を用いて解説していきます。
・Amazon ・Netflix ・Airbnb |
AmazonのDX成功事例
世界最大のECサイトのAmazonでは、下記のようなDX施策を行っております。
・「今すぐ買う」ボタンの設置により、商品を購入するまでの時間を短縮し、ユーザーの利便性を高める。
・注文履歴から、ユーザーがよく購入する商品をAIが分析。
分析結果によって出た商品を、あらかじめユーザーの住所に近い倉庫に移動させておくことで、配達をスムーズに行うことを可能としている。
・AWSにより、物理的なサーバーを必要とせず、AWS上でアプリケーションの開発やサーバーの構築、システムの運用などを可能にしている。
NetflixのDX成功事例
DVDのレンタル事業は従来、店舗型をしている企業が多くありました。
そんな中、Netflixは自分のスマホで見ることができる在庫を抱えない動画配信サービスの提供を始めました。
これによりユーザーのストレスを排除に成功。
また、過去の作品からAIが分析し、ユーザーに合ったレコメンド機能を設置することで利便性を高めました。
AirbnbのDX成功事例
Airbnbは、「部屋を貸したい側」と「部屋を借りたい側」をマッチングさせるサービスです。
従来の宿泊の予約は、電話でのやりとりがほとんどでしたが、AirbnbのDX技術により電話する必要がなく、プラットフォーム上で全て手続きが完了します。
これによりユーザーの利便性が高まり、気軽に民泊やパーティーなどができるようになりました。
8.DX資格の取得を通して優秀な人材へと育つ!

最初は全くDXについての知見がない状態でも、DXに触れることにより少しずつ優秀な人材へと育ちます。
ただしDX資格を取得しても、それが事業に役に立つものでなくては意味がありません。
そのため取得するDX資格をしっかりと選ぶことが大切です。
また資格取得の動き始めが1番つまずきやすいので、時間をかけて準備をし、社員のモチベーションを上げるための施策を考えていきましょう。